2・26事件

The_instruction_to_go_insane●筒井康隆著『壊れかた指南』(文藝春秋)を読了。
「御厨木工作業所」と「耽読者の家」にヤられる。この作者には今後も、もっともっと壊れて欲しいし壊して欲しい。

区役所へ赴き、夜間受付のおっさんへ書類を提出。当該書類の下の欄に「事件簿番号」なる枠を認めたが、今回の儀ではこの枠は使用せずにブランクのまま。役所の人間が後で事務的に迅速にチャチャっと埋めるのかしら。
でも、この欄内を満々に埋めたいくらい、とびっきりの事件なのだ。

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幸甚かも知らん

Saladaanniversary●俵万智『サラダ記念日』(河出書房新社)を読了。
「生ビール買い求めいる君の手をふと見るそしてつくづくと見る」(P15より)
「我だけを想う男のつまらなさ知りつつ君にそれを望めり」(P37より)
「母の住む国から降ってくる雪のような淋しさ 東京にいる」(P38より)
「二時間でシンデレラとなる吾を前に核戦争の話などする」(P53より)
「君の待つ新宿までを揺られおり小田急線は我が絹の道」(P80より)
「誰を待つ何を吾は待つ<待つ>という言葉すっくと自動詞になる」(P118より)
「「おやすみ」をあなたに言ってもう今日は鳴らなくていい電話と思う」(P167より)
何首も何首も紹介したい。この歌がああだ、あの歌はこうだ、と地酒片手に夜っぴて語り明かしたい。「俵万智」が俵万智になった気分。括弧が取っ払われて、ぐんと近しい飲み友達になったような。

風祭は「千世倭樓」、合掌造りの離れにて会席料理。なんて贅沢な空間の占拠。婚儀の一環と言えば一環。雅趣に富み過ぎだろ。地ビール旨過ぎだろ。
国交省に出向中のK野さん、湯河原の兄貴M嶽さんへテル。よりによって思えばバレンタインに野郎等へテル。でも自分へのプレゼントのような懐かしさ。いや、ちょっと言い過ぎかしら。早く会いたい。
母の口から「辺見庸」とは。事の経緯を訊くと「かなり昔にファッション雑誌か何かに出ててあの無頼風情に惚れたのよ」「こないだのETV特集観てやっぱり凄い人だなと思って本を買おうと思ったらお前の本棚にあったから今読んでるの」。へえー。机上には『眼の探索』(朝日新聞社)。せいぜい彼の美文に溺れればよい。
富士山のシルエットが朧に浮き上がってて夕刻の空が深青。ぽつんと星一点。
幸せ過ぎて「起きるな俺」と夢でも無いのに念じてた。

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平民の休息

The_power_of_poetry●吉本隆明著『詩の力』(新潮文庫)を読了。
「ところが、読んでいて、どれか一つの言葉が、一つの暗喩として心にひっかかると、それが入り口になって、一気に詩の核心にまで連れていかれる。読者も人間の心の奥底にまで降りていくことになる。」(P149より)
この文は詩人吉岡実の項に宛てられたものだが、一つの詩との出会いに関する普遍的な様態として読むことが出来る。

実家へ朝帰りをする。
Y崎氏、M山女史と途中、河岸を変えながらの飲み。会社の同僚でありながら、会社・仕事以外の事象について談論出来るのはこの二名くらいか。話題はあっちへ飛び、こっちへ飛んだ。あっちへも、こっちへも行ける翼をお持ちである。あっちへ、こっちへ行くうちに、宙が白んだという訳。
起床しM本家眷属と夢庵へ。帰宅し久保田を流しこむ。IK氏へ電話すると二週連続で実家へ戻って来ており将来につき家族と凝議しているとのこと。今が正念場。ESPRIT DE MARYのチョコを久保田の肴にするも合わぬ。母はルンルンで明日のカレーを仕込んでいる。この土日も分際をわきまえた私は平民としての休暇を楽しんでいます。

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嘉する

A_toy_story●澁澤龍彦著『玩物草紙』(中公文庫)を読了。

T.Gが合格。これで晴れて来年度より教員となる。小学校の教員である。祝杯をあげる。言祝ぐ。偉い。見習いたい。
あとは女だ。

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タコ粘りするもハマってしまって

Cancer_treatment●吉原清児著『がん医療の選び方』(講談社現代新書)を読了。
「私は、この国の医療には「三人の主役」がいるのではないかと思うことがある。患者と医者、そして役人だ。いや、その役人を操る政治家をもひっくるめて三番目の主役とみるべきかもしれない。いずれにせよ、医療の構図で言えば、すべての患者は「治りたい」「命を助けてほしい」と願い、心ある医師は「力を尽くして命を助けたい」と考えるものである。これに対して、あくまでも国民本位の立場から、時代に即した政策を練り上げるのは政治家と役人の役割だろう。」(P162より)
改めて考えれば至極当然な医療の構図だが、改めて考え直さなければならないほどに、このトライアングルは瓦解している。いつの日かがんになる私にとって、この本は多少専門的なくだりも含めて大変勉強になった。

渋谷は「神座」にてラーメン。ジャグラーやるもバケすら来ない。ハナハナやるも小役すら来ない。シーサーだって不動明王。来ぬる日は来ぬ。ペカらぬ日はペカらぬ。人生と近似。

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単行本ノート

Guide_to_the_labor_law●大内伸哉著『どこまでやったらクビになるか‐サラリーマンのための労働法入門』(新潮新書)を読了。

「無印良品」にて単行本ノートを買ってくれた。税込価格210円。確実に重宝する筈なのだが、何だか完全なるマッサラに字を書き込んで行くのに気が引けてあまり使っていない。大事なことだけを書こうと今決めてはみたものの、大事なことなど3ヶ月に1回あれば良い方だな、と今思った。大事に使って行こうっと。

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取り寄せる

Diary_again_and_again●筒井康隆著『幾たびもDIARY』(中公文庫)を読了。
この絶版本を取り寄せるのには骨が折れた。果たして可なり状態の良いものを取り寄せることが出来た。報われた。

渋谷は「むつ湊」にて、きんき売切れにて目鯛照焼定食を食し、「旨い」と心の中で絶叫する。
センター街を往ったり来たり、アイスコーヒーを飲んだり飲まなかったり、泣いたり笑ったり。

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野営

Record_for_a_condemned_criminal●加賀乙彦著『死刑囚の記録』(中公新書)を読了。

例によって今年もキャンプ。大人買いした色とりどりの野菜に大量の肉をジャワジャワ鉄板で焼いて鱈腹食べて大いに飲んだ。アブやガが纏わりついて来て、しゃらくさかったが、夏の夜に山の中でワイワイ飲み食いするだけでもテンションは青天井。
いっしー、幹事らしくなかった幹事、お疲れ。

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届く

Basis_of_logical_thinking_3●大石哲之著『3分でわかるロジカル・シンキングの基本』(日本実業出版社)を読了。
理論武装用アソートメント・キャンディ状態。多くの知的アイテムにザックリとではあるが触れる事が出来る。

クール宅急便が届く。暑中見舞いの葉書が届く。マンションのチラシが毎日のように、嫌がらせのように届く。恐らく拙宅の郵便受けをゴミ箱と勘違いしている者が複数人いる。

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かわや・いきむ

The_strongest_business_administrati●島田隆著『最強の経営学』(講談社現代新書)を読了。
Trap_of_motorcar_insurance●柳原三佳著『自動車保険の落とし穴』(朝日新書)を読了。


「かわや・いきむ」のペンネームで応募したムネ製薬株式会社主催の便秘川柳に、どうやら落選したようだ。

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夏風邪

Have_a_good_command_of_a_basic_engl●大内博著『基本英単語を使いこなす』(講談社現代新書)を読了。
英会話なんてこの基本英単語だけで成り立ってしまうのではないか、と思ってしまうほどの丁寧な解説と情報量。
興味深く感じた英文を風呂場で暗誦している。

8月のスケジュールがどんどこ埋まって来る。総ての企画がどれも楽しみで仕方がないのだが、通常かれこれ侵され始める夏風邪がまだその姿を現さない。せめて8月25日以降に来て欲しいと思う。それならば猛威を振るってもらって構わない、好きにしていい。

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眼鏡かコンタクトか

Simple_text_of_the_stock●東京大学株式投資クラブAgents著『東大生が書いたやさしい株の教科書』(インデックス・コミュニケーションズ)を読了。
分かり易い。理論株式の第一歩目。いちいち挟まれるギャグがまた真面目な東大生を浮き彫りにしていて微笑ましい。

初対面のO君とTさんと池袋は「紅とん」で飲み「無敵屋」に流れてラーメンをずるずるすする。

再び眼鏡からコンタクトにする。また3年後くらいに眼鏡に戻り、6年後はコンタクトかしら。3年の等差で変更していったとして、俺の死に目、希代のハープ奏者として主にヨーロッパを舞台に輝かしい活躍をしているであろう美貌の長女と、事業ポートフォリオに就いてのエポック・メイキングな論文で世界にその名を轟かせているであろうM大教授の長男が、それぞれドイツとイギリスから駆け付けた正にその時、果たして俺は眼鏡だろうか、あるいはコンタクトだろうか。

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今年も採血

The_opening_lenin●中沢新一著『はじまりのレーニン』(岩波書店)を読了。
「レーニンという強力な思考機械は、たしかに思考の外にあるもののごく近くで、しばしばそれに直接的に触れながら、作動していたのだ。それは、物質の未知の領域に挿入された、科学的な実験装置のように、人間の言語や思考の中にまだ組み入れられていない領域に、直接に触れている。」(P7より)
地の底から湧き上がって来るような笑いを笑うレーニンに唯物論的実践の原型を見、ヘーゲル、ベーメ思想、グノーシス主義にもうひとつの哲学史の傍流を見出そうとする奇異ではあるが、とにかく面白い研究。

採血をした。いや、採血をされた。やっちゃえば一瞬なのだが、その一瞬へのおぞましさに毎年懊悩を強いられる。いい年して、男のくせに、巨漢の割に、なんと小さき心の持ち主なのであろうか、情けない。いい加減そろそろ慣れろ。虫けら。犬畜生。馬鹿。死ね。

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また風邪

Busjack●三崎亜記著『バスジャック』(集英社)を読了。
直木賞候補作となった同著者の『失われた町』(集英社)の選評で宮城谷昌光氏が、三崎氏の特異な知性と感性は注目に値するがその文章だけを見詰めると特異なものではなく凡庸、といったようなことを述べられているがこの評言は大いに的を射ていると思った。着想の面白さには読者として今後も見守って行きたい。本作では「二回扉をつけてください」「送りの夏」が双璧か。

季節の変わり目に、しっかり確実に風邪をこじらすこの軟弱な身体を葬りたい。ジスロマック錠250mgを3日間連続服用。

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乞食集きて

Neighboringtownwar●三崎亜記著『となり町戦争』(集英社)を読了。
メッセージ性の高い小説にありがちな物語の犠牲、物語性の高い小説にありがちなメッセージ性の乏しさ。この小説はそのどちらにも陥ることなく、どちらも可なり高い位相をキープ出来ている。
第17回小説すばる新人賞受賞作。

中学の頃同じクラスだったGという女が激太りと激老けを晒して乞食のようなおっさんと一緒にアイスコーヒーを仲睦まじく飲んでいた光景が余りにもショッキングで茫然自失ながらも何とか僕も自分のアメリカンを口に運んでいたところ、高校の頃同じ学年だった名は知らぬ男が激太りと激禿げを晒して乞食のようなファッションで携帯いじくりながら時折ニヤつきアイスココアを飲みに来た。更なる乞食の入店に怯え一散に退店した。

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ドック!

Overworkera●森岡孝二著『働きすぎの時代』(岩波新書)を読了。
「三〇年以上前に発効したILO一三二号条約では、病欠は年休に含めてはならず、休暇は最低三週間以上、うち最低二週間は連続休暇でなければならないとされている。しかし、日本ではこれに対応する国内法が整備されていないために、この条約をいまだに批准できないでいる。」(P153~154より)

TGとUYと小田原は気になっていた「だいご」本店・もつ店にて呑み喰い。市街へ戻りハシゴ酒。「残波」ばっか呑むUとは久しぶり、弾んだ。Gとの会話はいつも落ち着く。夢は膨らむ、否、膨らます。

怯え嫌がり続けて来た母を、言葉の暴力を以って半ば強制的に行かせた人間ドックの詳細を聞く。「内臓ぜんぶよ、内臓ぜんぶ」と言う哀しいかな醜いメタボマザーの直腸指診をおこなったドクターに憐憫の情を禁じ得ない。

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桜も散りぬ

Learn_to_win●古市幸雄著『「1日30分」を続けなさい!‐人生勝利の勉強法55』(マガジンハウス)を読了。
向学心はあれど持続力の無い僕には非常に有益で大いに刺戟を受けた。

何とも早、桜の木がグロテスクなお化けと化してて桜にまつわる奇譚の数々を想い起こして見た。IKとKMがいらっしゃって「てしごとや ふくの鳥」にて飲む。「山猿」という山口の旨い地酒と出逢う。

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送別する

Heidegger●北川東子著『ハイデガー‐存在の謎について考える』(NHK出版)を読了。
「開かれている」ことに真摯で、体裁も独我論に陥っておらず読み易い。

原宿は「ゆかり」にてM星さんのささやかな送別会。冷酒持って来い、カシスウーロン持って来い、えいひれ持って来い。終電逃し皆で自棄のカラオケ・オール。さすがにガラ空きと予想していた始発の山手線が退勤ラッシュと同等の超満員であったのには驚倒。朝ぼらけの冷たく澄んだ朝に俺の怒声がマイク・エコーレベル最大で響き渡りて鳥が飛ぶ。

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パンパン

Read_the_marx●大内秀明・野坂昭如『マルクスを読む‐資本論講義』(朝日出版社)を読了。
「社会的物質代謝」についてよく判った。ここらはイデオロギー的アプローチよりも科学的に接近する方が掴み易いですね。

大山は「好味来」にて玉子と木耳の炒め定食を食べる。歩き過ぎて太ももが競輪選手然。

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内痔‐整腸せよとの内示

Lists_of_strange_visitors●色川武大著『怪しい来客簿』(文春文庫)を読了。
必衰と凋落の美、寒気すらする怪作。泉鏡花賞受賞作。

内痔か知らん、三連続で下血。股間から垣間見る便器の水面に鮮やかな血液のマーブリング。黒赤色でなく鮮血だったので気持ちを落ち着かせて見る。多くの友人に怯えながら相談して見る。味の素株式会社のダノンビオを食べて見る。風呂の温水で肛門マッサージをして見る。刺激物を控えて見る。注入軟膏を全的な羞恥の体勢で注入して見る。いきまないよう排便して見る。見る。無血開城。正常な排便の悦ばしさにうち震えた。

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災難の事

The_way_of_moneyThe_trick_of_insurance●青木雄二著『銭道‐入門編』(小学館文庫)を読了。
●青木雄二著『だまされたらあかん‐保険の裏カラクリ』(徳間文庫)を読了。
「CMには「え、ほんまか。それなら気軽に入れる」「終身保険ならええやん」と思わせる演出がされとる。それはイメージを売っとんのやから、当たり前や。けどな、最初に言うた通り、自分の安心を自分で守るために入るのが保険というものです。そして保険会社は利益を追求している組織なわけです。入る側が冷静に吟味して選ばなければいかんのです。あの程度のCM見て、そわそわしだすようでは修行が足りん。保険会社はそんな甘くないで。」(後者P84より)

「保険」を日本に紹介したとされる福沢諭吉の『西洋旅案内』によると、そもそもその謂いは「災難請合の事」であった。さてこれを踏まえて現代の「保険」に視座を移して見るとどうであろうか。湧水の如く溢れる不祥事の汚水。福沢諭吉による語義から「請合」という語がすっぽり欠落していてもそっくり意味は通じはしないか。約140年でハラハラと風解した「請合」が保険の本源だとするならば、この風解こそが保険制度一般に於ける「保険事故」であって外ない。

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喧嘩回避

Whats_going_on_in_japan●池上彰著『いまの日本よくわからないまま社会人している人へ』(海竜社)を読了。
このシリーズもだいぶ増えて来ました。

帰途の電車内で危うく見知らぬ男と掴み合いをするところであったが回避に成功する。

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勝ち克てよ

Evil_and_heretic●筒井康隆著『悪と異端者』(中公文庫)を読了。
昔日。死刑囚であった作家の永山則夫が日本文芸家協会より入会を拒否された一件に抗議して中上健次、柄谷行人と著者の三者が当該協会から脱退するという事件があった。当経緯の真意を求められた著者はエッセーで次のように書いている。
「つまり、何となくキナ臭いから逃げたのである。おれは評論家ではなく作家だから本来はただ「キナ臭いから逃げた」だけでいいのだ。特殊な者を排除し、個性を認めない大政翼賛会的な団体にいるよりは孤立していた方が安全であろうという、これはまあ、臆病者の美学と言ったところか。協会の入会申込書にしても、昔は略歴を一行でも十行でも自由に書けた筈が、今は身許調査書のごとき書式の用紙になっているという。優秀な文学者で精神分裂病になった人は多いが、たとえば単純な妄想がひとつあるだけの文学者が病院内から入会を求めてきたらどうするのか。すぐれた小説を書くエイズ患者が入会を求めてきたらどうするのか。クラブのママを入会させるかどうかでもめた前歴を持つ協会のことだから、これはおそらく拒否するであろう。文学史に残る醜態となる。いかにおれとて自分の名は惜しみたい。「いったいそのとき、どんな作家が会員だったのか」と訊かれたとき、「おれはいなかったよ」と返事したいのである。」(P37~38「おれは逃げた」より)
ナンセンス・不条理・虚無主義の巨匠、筒井康隆という作家がいかにマトモな作家だったかということを証明するものである。

地元の知己と飲む。躁鬱病にかかったという。今は小康状態、もうあんな体験はしたくないと熱燗片手に言った。今はボクシングジムに通い、近々アマチュア戦に出るのだそうだ。チラっと見えた彼の右拳はトレーニングの激しさを雄弁に物語り、赤く腫れ火照っていた。「はじめはボクササイズ感覚でやってたんだけど」と語る彼。27歳でのデビュー戦はボクシングに疎い当方とて、遅すぎるデビューであることは分かる。近々リング上で君の前に立ちはだかるのは病魔の権現に違いない。わずかな隙は先方のストレートを許すに充分だ。君は君自身と戦う。おそらくデビュー戦には立ち会えないと思う。克って欲しい。

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賢治君と会う

GalaxyrailwayGalaxyrailway2●宮沢賢治著『新編 銀河鉄道の夜』(新潮文庫)を読了。
高橋源一郎やら吉本隆明やら天沢退二郎がやたら賢治賢治言うものだから読む。小学生の時、書写の先生に半ば強制的に読まされた「セロ弾きのゴーシュ」以外は初読。そういえばこの書写の先生はよっぽど「セロ弾きのゴーシュ」がお気に入りだったようで、卒業アルバムにゴーシュの絵をコラージュで貼り付けて来たものだった。
谷川徹三編の岩波文庫では同題に「童話集」と冠されている。まぁ童話は童話なのでしょうが、心安いものではなかった(心安い童話というものは、そも無いのかも知れないね)。辛苦と悲哀、存在と孤独、多方面に伸びる愛。読んでは立ち止り、進んでは後戻りしながらの重い旅路だった。なにぶんテクストとして古いので所所読みづらい箇所もあったが大いなるカタルシスごちそうさまでした。
賢治ときたら大したもんだ(「オツベルと象」風)。

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低カロリーの切なさ

Dont_laugh_at_my_romance●山崎ナオコーラ著『人のセックスを笑うな』(河出書房新社)を読了。
ある知人は甘ったれた「オレ」に好感が持てず作品として締まりがないと言っていたが、甘ったれたボクにとってはなかなか楽しめた、切なかった。遅読のボクでもサッと読めたとこにも好感が持てたりして。

ボールタップが折れ沈み、素っ裸で高架水槽内に潜ったという元同僚のエピソードに新宿の飲み屋で爆笑。

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かぼちゃの馬車

Qualification●今野浩一郎・下田健人著『資格の経済学‐ホワイトカラーの再生シナリオ』(中公新書)を読了。
「資格を取得したからといって、彼らがすぐに会社を辞めるわけでもないし、資格が必ずしも、魅力的な転職先や独立の道を簡単に保障してくれるわけでもない。それにもかかわらず魅力を感じるのは、資格が組織に対する個人の交渉力を担保する役割を、あるいは職業生活の安定を保障する保険の役割をはたす、と期待されているからであろう。」(P13より)
ま、早い話しが、対組織への武装だな。素っ裸の歩兵でひしめく群れに於いては甲冑を纏った兵卒が目立つのは瞭然というもの。そして、どうしたって素っ裸の歩兵よりは勇ましい。

出不精の母が休日に一人でカフェ・レストラン「かぼちゃの馬車」にランチを喰いに行ったというのだから驚き。

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狼煙

Vague_uneasiness●玄田有史著『仕事のなかの曖昧な不安‐揺れる若年の現在』(中公文庫)を読了。
「多くの企業は「リストラ」という言葉を背後にちらつかせながら雇用調整を進めている。だが実際には、企業内部の人員整理のむずかしさを反映し、ほとんどの場合、調整は新規採用の抑制を中心に行われている。若い社員の立場から考えると、それはいつまでたっても後輩の社員が入社してこないことを意味する。そのため、業務の末端としての仕事がどんどん増え続ける。何時になっても仕事が終わらない。より高い技能や知識の獲得へ、会社内のステップアップも期待できない。そんな状況のなか、ある日、若者は転職を決意する。」(P18より)
緻密且つ人間味ある「仕事」の論考。サントリー学芸賞、日経・経済図書文化賞受賞。

ひさしぶりに実家へ帰館。暴飲暴食の3日間。ノロシが上がった。

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げんなり

Democracy●杉田敦著『デモクラシーの論じ方‐論争の政治』(ちくま新書)を読了。
「僕が強調したいのは、同時に複数の単位の構成員であることの重要性だ。自分はA国人だが、Bという大きな単位にも属し、Cという小さな単位にも属している。こういう意識を持ち、それぞれの単位のデモクラシーをいずれも大事にして行かなければ、まともな政治的判断ができるはずがない、ということだ。」(P186「主権国家の相対化へ」のAの発言より)

家で栽培をしている。と言えばなかなか危ない表現に陥るが、育てているのは至極合法なカブとラディッシュ。しかしこれが可なり育てるに難しい。ある程度大きくなったので鉢を一回り大きなものにしたら俄然元気がなくなった。大きくなるにつれ、なまじっか愛情が募ってしまったものだから当方も元気を失くしている。目下、土の所為にしている、季節柄の所為にしている、肥料の所為にしている。

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頭の意味

Box●安部公房著『箱男』(新潮社)を読了。

もっと頭の良い人たちと交際したい。ここで言う「頭」とは、よく良識ぶった奇麗事にしばしば使われる「常識をわきまえている」といった意味のそれではなくて、「偏差値が高い」といった意味合いだ(しばしば何故か批判の対象となるものだが)。

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私から西武、西武から私へ

Culture●浅羽通明著『教養論ノート』(幻冬舎)を読了。

明瞭な発話と分かり易い案内、マニュアルにはゆめゆめ載っていないであろう配慮の言葉、間の良い合図と優しい声音。退勤の西武池袋線で見たあるべき車掌の姿。
その車掌に感激し、どうしても「ありがとう」の気持ちを伝えたかったので「その時」の「その車掌」と解るよう正確な情報を書き込んだ上で西武鉄道にメールを送信した。翌日レスがある。

「平素は西武鉄道をご利用いただきまして誠にありがとうございます。
また、この度は大変心温まるお褒めのお言葉を賜りまして厚く御礼申し上げます。
弊社の係員をお褒めいただきまして誠にありがとうございます。
賜りましたお褒めのお言葉は、係員の大きな励みになりますので、担当部署を通じて申し伝えさせていただきますので、ご了承下さい。
西武グループでは「でかける人を、ほほえむ人へ。」のスローガンのもと、今後ともお客さまに喜ばれる鉄道を目指してまいります。
今後とも何かお気づきのことがございましたら、お知らせいただければ、幸甚に存じます。
これからも西武鉄道をよろしくお願い申し上げます。

西武鉄道お客さまセンター」

感謝のメールに対して一定時間後に自動返信されるようプログラムされているかのような雛形感満々の文言だがそれはまぁいいとして、あの車掌に「担当部署を通じて申し伝」わることを切に信じる。
やっつけ仕事で溜息なのかアナウンスなのか判然としないような車掌ばかりの毎出退勤。しかし中には確かに「いる」のだ。そう思えただけでも嬉しかった。

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塩尻エリカ

Moneyproject●細野真宏・マネー経済プロジェクトチーム編『細野真宏の株・投資信託・外貨預金がわかる基礎の基礎講座』(講談社)を読了。
投資の基礎体力作りには最適。

沢尻エリカ騒動に就いて会社の先輩が苦笑しながら彼なりの沢尻批判をしていたのだが沢尻を始終「塩尻」と言っていて、こちらも敢えて正さず相槌を打っていた。ま、世間の共通感覚としてその程度の小人だよなと内心思いながら。

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ALAS

A_primer_of_care●モブ・ノリオ著『介護入門』(文春文庫)を読了。
文庫版あとがきで著者も触れているように、このような作品が「中央集権的な制度によって守られている文学という経路を通じて、日本を代表する極右出版局から印刷されることの方がずっと重要なのだ」。
第98回文學界新人賞、第131回芥川賞受賞。

このノートパソコン(NECのLaVie L)をかれこれ6‐7年使用している。しかしながら不具合など全然無く至って状態は良好だ、なんて言ってみたいが実態は衰耗仕切って動作はこれでもかという程に鈍い。ウイルス駆除等一切して来なかったが為に10分も使えばキーボードは発熱し異音を発しうんうんとうなされている。いつだったかマウスもチーズ求めて逃げてしまったし、「CAMEL」や「BEAMS T」のステッカーをボディに貼付け老躯のくせに過日お洒落もした。個体個体で差異はあろうし一概に耐用年数は言えないだろうが、よくもっていると思う。でも流石に新調せねばなと感じたのは、先程ウイルスバスターをダウンロードした際にMeには最早使えずXPへと適合基準が移行しているという驚愕の警告文が現われたのだ。冬の賞与でとは思うが、alas、既に使途目白押しのことよ。

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毎毎の事

The_search●辺見庸著『眼の探索』(角川文庫)を読了。
「反‐風景」の為に群がる言葉たち。

黙黙と勉強。
凡凡と毎日。
段段と嫌気。

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健診

To_words●吉本隆明・北山修『こころから言葉へ』(弘文堂)を読了。

健康診断のため、武蔵境にある某クリニックへ赴く。
思えば当クリニックは入社時に一度訪れ、拙劣な看護婦により都合三回も注射針を刺し抜きされ、それが影響してか通路で昏倒した苦々しい思い出のある場所なのだが、今回の採血は一発で終了、嬉々としてクリニックをあとにしたのも束の間、先日より調子の悪い咽喉がいよいよもっておかしく、実家に戻ったが、偏頭痛と喀痰激しく明日は地元のかかりつけの病院へ行くこととする。かかりつけと言ったって2度目だが。

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油ソバ

Drowned●川上弘美著『溺レる』(文春文庫)を読了。
女流文学賞、伊藤整文学賞受賞作品。
「亀が鳴く」が良いと思いました。

会社帰り、飲み会。
あのコテコテな油まみれの焼きソバが絶品やった。焼きソバっつーか油ソバ。

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大惨事

Fictionfleet●筒井康隆著『虚航船団の逆襲』(中公文庫)を読了。
「ただし、わかりやすくなった最近の吉本隆明の著作の中でもいちばんわかりやすい筒井康隆批判の部分が、ふだんから筒井康隆を嫌っている教育関係者の手によって、いかにもこれこそ真実と言わんばかりに、五十八年度共通一次の模擬試験に出題されたりするノンフィクション的現実は少くとも小生にとって大迷惑なのである。」(P175「ノンフィクション・ゲーム」より)
ウケた。

或るプロジェクトの決起集会が神保町にて催され参席。他社とのディスカッションや今後のスケジュール確認等等をした後、立食パーティーへ雪崩込む。ビールを注ぎ名刺を交換しリゾットを掬い名刺を交換し肉を切り名刺を交換し名刺を交換しサラダを頬張り。そのうち右手で皿を持ちながら左手で要人と名刺を交換する芸当を身に付けており、「ビジネス」もここまで来ると「愉しい」。
あれよあれよと宴は盛り、予め参席者代表挨拶に決まっていたN氏が都合良くも咽喉を痛め急遽辞退、そして不条理にも急遽代役に僕。50名程度を前に呂律の回らぬ意味不明を述べ、生まれ落ちて初めての一本締めの音頭を執る。近年稀に見る大惨事であった。

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ポラン書房

The_woman_in_the_dunes●安部公房著『砂の女』(新潮文庫)を読了。
再読了。新潮文庫に於ける安部諸作品の表紙カバーが少しずつ変わり始めてから久しい。新表紙には安部自身による写真が使用されており、この写真らがまた安部作品の重く暗いトーンと絶妙にマッチしていて恰好が良い。ま、考えてみれば同じ人間から産み出されたものゆえ道理か。

「ポラン書房」はとても良い古書店だ。
品ある主人といい並べられている古書といい、地元にこうした古書店が一つあるだけで何となく心強い。
本日は1冊だけ購求。

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ランチ イン 馬場ンナ

Parallel●太田光著『パラレルな世紀への跳躍』(集英社文庫)を読了。
「我々はテロに屈してはいけないと言いながら、相手には暴力に屈する事を強いているのではないだろうか。」(P155「毅然」より)
太田光の筆致は個人的に合わないけれども、太田光という男は好きだ。

Kさんと高田馬場にある韓国料理屋「豚キ」でランチ。
僕にとって「ランチ」と言えばJUDY AND MARYのアルバム『POP LIFE』に収録の「ランチ イン サバンナ」である。
「ランチ」という言葉を読んだり、書いたり、聞いたり、発したりすると決まってどこからともなくこの曲の陽気なイントロがズンズン響いて来て、小鳥達は舞い魚達は泳ぎ出す。
Kさんとのランチ後は勿論、機関銃リズムであたし仕事に励んだの☆

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ワチ君は欠席

Historical_capitalism●I.ウォーラーステイン著『史的システムとしての資本主義』(川北稔訳、岩波現代選書)を読了。
世界システム論への架橋。資本主義とその周辺主義(普遍主義・進歩主義)に就き突っ込んで考察する為には有益。

小田原は「くるま家」にてO君、O君夫人のNさん、Iッシー、Mさんと宴遊。
久保田(百寿)を呑み、鰆の刺身を喰らう。妊婦であるNさんのお腹は既にデビューするべき臨戦態勢の生命を宿しており早くて今月、予定は来月とのことだ。良人のあの頼もしき包容力でさぞかしベイブもNさんも安心して出産に臨めるであろうし、そう祈る。Iッシーは愛知で塾の講師をしており間も無く塾長に成るとか。不得要領で決して頼もしくも何とも無かった彼だが、一本気で熱い教育への思いが認められたのだろう。愉しい酒が呑めました。朝まで行っちゃいました。

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元を取る感

Japanesethought●丸山真男著『日本の思想』(岩波新書)を読了。
「本当に「おそれ」なければならないのは、議会否認の風潮ではなくて、議会政治がちょうどかつての日本の「國體」のように、否定論によってきたえられないで、頭から神聖触るるべからずとして、その信奉が強要されることなのです。」(P170より)
危ない危ない、かくも深長なる高著を今まで読んで来なかったとは。

電車の定期券に印字された駅名や有効期限の数字が、自動改札によって日々磨り減らされ薄く成って行けば行くほどに快感。

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入れ子構造

Astonishedwilderness●筒井康隆著『驚愕の曠野』(河出書房新社)を読了。
これまで子供らにある本を読み聞かせて来たおねえさんのMCから始まる。「第332巻」から我々が読まされることになるのはこの為だ。つまり我々読者はこの物語に途中参加をする格好となる。私は「読了」と書いたが、この物語は正確には読了をすることが出来ない。させてもらえない。我々もまたすっぽりと物語の中へ否応無く組込まれてしまっていることに読後気付くのだ。
昔、ドリフだったか、プレゼントの箱を開けると一回り小さなプレゼントの箱、これを開けると再びプレゼントの箱、そしてまた箱と、箱を開ければ開けるほど箱は幾重にも内包されていて、元々の巨大なプレゼントの箱が次第に小箱と成って行き、結局は卵サイズの箱へ辿り着いてしまうという幼時の私には衝撃的なコントがあった。
こうした様態を「入れ子<入籠>」(イレコ)と言うのを知ったのはそれからだいぶ後に成ってのことだ。
半ば強引に物語に食べられ(包摂され)、図らずもこの入れ子の外枠と成ってしまう奇妙な感覚。怖ろしくも爽快であった。

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この季節

A_lesson●別役実著『教訓‐汝、忘れる勿れ』(王国社)を読了。
「耳栓と朝シャンと潔癖症」というエッセーを目当てに。

うがいを、手洗いを、ビタミンを。
予防は徒労だ、風邪をひく、ビールスに負ける。
しばしの御寒暖をお楽しみ下さい。

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「まあな」と諒

The_public●富岡多恵子・西部邁『大衆論』(草思社)を読了。
「だから、僕は大衆論を軽はずみにやっていると、普通の人びとは愚劣だというふうなことに、どうも一直線に行きがちなところがある。僕も大衆礼賛に抗しようと思うあまり、そう思われても仕方ないような表現もしていますけれども、でも、コモンマンの偉大さは僕なりに認めているんです。」(P115西部氏の発言より)

練馬駅構内のドトールでココアを飲んでいたら、隣席に30代くらいの同僚と思しき男2人が来た。営業のやりとりが始まり、どうやらタバコの営業員らしい。禁煙席に坐っている。タバコの営業なのに、禁煙者か。ブレンドを干して出て行った。一瞬の違和感、しかし、いや、杖を使わぬ者が杖を売る、保険嫌いの保険屋、EDの媚薬売り、など考えていたら「まあな」と諒。

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お疲れさま

To_be_real●中沢新一著『リアルであること』(メタローグ)を読了。

軍手をした手でシートを叩き、無数に舞い上がった埃の粒子が風に乗って流されて行くのだ。何回も何回も叩き、何回も何回も流されて行ったのだ。その粒子の数ほど、ドラマがあったのだ。その粒子の10000000分の1ほどの数のゲストと、1000倍くらいの「ことば」が交わされたのだ。埃もそうだが、時もまた然り。
スズキと言えばジムニーなのだ。さよなら、ありがとね。

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満員作法‐あまりにテトリス的な

Bokko●酒見賢一著『墨攻』(新潮社)を読了。
中島敦記念賞受賞作。
特異な思想集団、墨家をモチーフとする中国小説。頁数は短い割りに密度は濃く、ぐいぐい読ませる求心性を持った作品。「非攻」の思想から、大軍の攻撃にあの手この手で繰り出される防御のカラクリ。時同じくして上映されている映画も賞鑑したが、本の方が数百倍面白い。

地方都市の満員電車事情に就いては、露知らない。だから首都圏に話しを限定して言えば、東京から離れれば離れるほど満員電車は乗りにくくなる。なぜだろうかと考えていたら、先日その答えを発見した。すし詰め電車に乗る際に東京人は、要領良くテキパキと「テトリス」の1ピースに成る。状況に則してスッと空隙を埋める。乗り込んでしまった時に自分が不正解の格好であっても、慌てず迅速に最良なピースに化ける。それがどうだろう、地方の支線で思わぬ満員電車状態が発生した時の地方人の身のこなしの悪さと言ったら。「そうじゃない」格好で乗り込み、車内の中ほどへの進み方も不得手で、無意味な空隙は出来放題。要は慣れの問題。フット・ワークだ。
東京人で満杯の退勤ラッシュ。スルスルと車内に人が満ちて行き、赤の他人同士がもたれ合い絡まり合い大きな一つのブロックと成る。そんな中、うっかり空いた右端に長身のサラリーマンがストンと乗り込んだら、23人が一遍に消えてね、ポイント稼げるぜ、やっぱ東京は。

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けちょんけちょん

A_cigarette以前読んだ医学博士の宮城音弥の手になる『タバコ‐愛煙・嫌煙』(講談社現代新書)は興味深い本だった。かつて別のところでも軽く触れたが、やはり今だにこの箇所はスモーカーにとって重要ゆえ引用する。
「彼らによると、喫煙者は非喫煙者と比較すると、転職することが多い。結婚を何度もする。つまり離婚することも多い。交通事故にあいやすい。年少の喫煙者については、学校の成績がよくないことが多く、目上の者に反抗しやすく、性的に早熟で酒をのむといった性格がみられるが、これは、内向性のものには少ない傾向である。」(P105「喫煙者の性格特性」より)
喫煙者が、ほんとにどうしようもない奴等であることがよく解かる資料の一つである。

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インド熱

The_guide_of_account●小堺桂悦郎著『なぜ、社長のベンツは4ドアなのか?』(フォレスト出版)を読了。
会計学の入門書。『さおだけ屋はなぜ潰れないのか? 身近な疑問からはじめる会計学』(山田真哉著、光文社新書)も会計学入門書。疑問形と会計学って相性良いのか。

インド料理にはまってしまってドッピンシャン。

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都営蟲惑腺

Nonlifeinsurance●玉村勝彦著『損害保険の知識<新版>』(日経文庫)を読了。

都営三田線の車内英語アナウンスって、どうしてあんなにエロいの。
ギャル的エロさだったらウエルカムなんだけど、なんか熟女的エロさで我々乗客を惑わして来るから、タチが悪い。
「ほうら、もう西巣鴨よ、早いでしょうMITAラインは」
「志村坂上よ、まだまだ終わらないわよ、ここからよ」
彼女は一体何の積もりなのでしょうか。

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Aさんの赤ペン

The_law_of_the_young●香山リカ著『若者の法則』(岩波新書)を読了。
「先輩をなんだと思っているんだ、と若者に対して怒りをあらわにしている大人がいる。その人たちを失望させるようだが、はっきり言って、若者は先輩や上司をなんとも思っていない。というか、ただ年齢や地位が上だからというだけで先輩や上司に一目置く、敬意を払うことはないのだ。あくまで、その人自身がどういう人かが、問題。」(P196「先輩・上司」より)

本書は要町のブック・オフで購入したものだが、相当な量の書き込み・傍線・傍点があった。ゲジゲジな文字、リハビリテーションな傍線、耳クソな傍点。汚い。読みづらい。遣るまい遣るまいと思えば思うほど、意識と視線はお散歩をしてしまう。152頁の書き込みは赤ペンで傍線と矢印と感想。「身に詰まされるなぁ」という言葉が頁の余白に踊って居る。彼もしくは彼女(以下Aさん)が、身に詰まされた著者の文章とはどんなものなのかと読み進めるとこうある。
「新天地に旅立とうとしないで自宅にいつまでもとどまる若者が増えているのも、単に不況の影響ばかりではないだろう。」
一瞬、うわっと思って本を放りたくなったが、ちょっと待てよ、気持ちは悪かったがこれが一つの社会的事実なのだとも思った。Aさんの生活を想像してみた。或る日、思い切って60日ぶりに外に出てみて、右に左にキョロキョロしながらやっと辿り着いた書店で見つけた1冊の本。「若者の法則」。若者に法則なんてあるのかなぁ、色んな生き方や価値観を持つはずの若者に法則なんて、面白そうだなぁ、読み易そうだし久しぶりに本でも読んでみようかなぁ。そんなAさんは、その日を丸々読書に費やし、著者の随想と暗い部屋で対話をしたのかもしれない。そして真剣な眼差しで思わず走り書きしてしまったのが、この少し照れ臭そうな心からの短い感慨へと結晶したのかも知れない。
Aさんのこの文章は図らずも僕の読書を立ち止まらせた。Aさん、あなたの文字はひどく汚い。箇所箇所の書き込みや傍線の付け所からAさんのモヤっとしたアウトラインを描けられるばかりだが、どれも何だか気持ち悪いし目障りだ(購入前に確認しなかった僕の責任もある)。ただ、そこかしこに激しい対話の痕跡が光っていることもまた事実で、Aさんのカビ臭そうな部屋が迫って来るようだ。
Aさんが「身に詰まされた」著者の文章以上に、僕は「身に詰まされるなぁ」とメモしたこの引っかき傷のようなAさんの照れた魂にこそ「身に詰まされたなぁ」。

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おこなう

Pensioninsurance●兒玉美穂著『はじめての年金・医療保険‐保険の基本は社会保険から』(集英社新書)を読了。
国はもっともっと、社会保険がツカえる制度であることを国民に知らしめるべきだし、国民はもっともっと社会保険を適正に使えるよう勉強しなければならない。

あなたは、何か物事を為す、という意味の「おこなう」を漢字でどのように書いていますか。
「行う」?「行なう」?
送り仮名の差異だけで、無論意味はどちらでも同じだし、どちらでも正しいようだが、少なくとも私は小学生の時から「行う」と書いて来たので「行なう」が大勢の、特に活字メディアには何がしかの違和感を抱く。

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賀春

Community●大塚久雄著『共同体の基礎理論』(岩波現代文庫)を読了。
色褪せぬ巨大なる大塚史学で今年の幕開け。

年始のご挨拶。酒、御屠蘇と濁り酒。
救世軍・社会鍋VSキリスト教原理主義の壮絶なバトル。今は昔。

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命に値段を

Saving●シンムラ・カツノリ著『生命保険業界にモノ申す!300万円節約術‐アマチュア営業員にだまされるな』(新風舎)を読了。
医療保険は可能な限り若い内に「終身タイプ」で入っておいた方がお得である、と氏は仰る。しかしどうでもよいが、校正が甘甘。誤記が多過ぎて読み辛いのなんの。ここまで激しいと著者の説得力の強弱をも左右してしまいかねないので注意が必要ですよ。

生命保険に加入した。正確に言えば生命保険商品を購入した。死亡保障の薄っぺらさは、目下の己の甲斐性の無さを思いっ切り反映しているが、そのうち買増せば良い話しだ。あとは各種特約を付保させて調えた。担当者は知人の知人。こうした間柄だと、するすると付合い契約に堕しがちだが、ここは大人ぶりを、ますらをぶりを発揮させ牽制する。本日より、己の魂に値段が付いたという訳。駄菓子屋でも買えそうなくらいの値段が。ま、至極相応とも言える。当たり付きではないけれども。

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ノロか否か

Bothwings●『日本の右翼と左翼』(宝島社)を読了。
読物としては面白かったが、可なり右傾では御座らぬか。

可哀想だった。「代わってやりたかった」などと言ったら虚言。代わってもやりたくないほどに惨状だった。ソファーのヘリ越しに、止まぬ嘔吐に苦しむ背中をさすり続ける。氷雨の深夜に救急車が玄関まで滑って来た。
点滴のチューブを縫って手を伸ばし蒼白の手首を掴んだ。
付き添い、見守り、気付けば26歳の誕生日だった。

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順法闘争とは

Storyものがたり戦後労働運動史刊行委員会編『ものがたり戦後労働運動史Ⅲ‐総評の出発から労闘ストへ』(第一書林)から僕は「順法闘争」について学んだのだった。
「労働争議の戦術のひとつ。法律や規則の基準どおりそのまま作業を実行することによって、合法的に生産その他の業務を渋滞させることをいう。たとえば、ホームの乗客の安全を充分確認したのちに、電車のドアの開閉をおこなう。東京の山手線などでひとつの駅で20秒~30秒の遅延が重なると、電車の運行に大幅な乱れがでる。ストライキを回避しつつ、結果的に業務を停滞させることで相手に打撃を加えることができる。一種の怠業行為(サボタージュ)で、有効な戦術でもある。」(P33より)

とても嫌味で素晴らしくウザい、とことん小賢しく、しかしある種爽快な戦術であると思う。日々実行しようしようと心掛けてはいるのだが、なかなかやはり難しいといった現状と白眼視とこの僕の小心性。まだまだだな。

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続・雑記する

Cela_ne_suse_pas●島村洋子著『へるもんじゃなし』(双葉文庫)を読了する。
「しかし男のやきもちというのはわかりにくいんだわ。「で、何食べたの?」とか「彼はきっといいとこ連れて行ってくれただろ」とか、絶対に素直に感情を表さない。なんか複雑でわかりにくくてかわいくないんだ、これが。」(P116より)
氏によると男性の三大悪癖に、「浮気」「優柔不断」「独占欲」を挙げている。

新横浜はラーメン博物館にて昼食をとったのち、IKEAへ行き家具・調度の大量購入。中量購入か。しかしこれはポトラッチでもバタイユ的な「呪われた部分」あるいは「蕩尽」でもヴェブレン的な「顕示的消費」でもなく、必要に駆られての消費である。金は出る出る、逃げられない。出る金に追われ、袋小路だ。どっこい、この袋小路、なかなかスリリングで面白くはあるのだ。

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向こう3年

Basiccompany●池上彰著『会社のことよくわからないまま社会人になった人へ』(海竜社)を読了。
「でも、上司や同じ仲間からの誘いを断るようなことをすると、「あいつは付き合いが悪い」と言われて出世に響くのではないか、と心配する人もいるかも知れません。しかし、そんなことまでして得た出世ってなんだろう?と私は疑問に感じます。長い人生の中で、その出世のためだけにどれだけ自分の時間を無駄にするのか。その分の給料がもらえるならまだ納得できるかも知れない。しかし、そうじゃない場合がほとんどですよね。」(P128より)
せやせや、おっさんの言う通りや。

チゲ鍋パーティ。雨音の中、向こう3年の自分の人生に就き考えた。

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男とサイケ

Kyniker●呉智英著『犬儒派だもの‐Nun,ich bin doch Kyniker』(双葉社)を読了。
「スノビッシュな教養には一切目を向けず、功利的な実学と刹那的な快楽しか求めない民衆なるものが存在するのなら、あるいは民主主義はうまくゆくかもしれない。「本物の無教養」はそんなにもたくましい。しかし、民衆は、スノビッシュな教養に実はあこがれているのである。」(P140より)
従って、スノビッシュな教養を求める我々は氏の本を嬉々として読む。戦闘的異端思想家の最上エッセイ集。

思い切って真実を告白すると、木曜金曜の両日、夜な夜な僕は男の子(かなりの美少年であった)を部屋に連れ込み、快楽にふけった。言葉は要らなかった。ただ、静寂のなか目を閉じ唇をつけ、舌で転がし、むんむんと馥郁たる淫靡なイカの匂いに部屋は満たされた。事は1時間と少し。1時間と少ししかモたなかったのが惜しかった。もっとやりたかったが、肉体にも限界がある。自然と背徳や罪悪感は感じない。とても優しくて、時に従順で時につれない、しかし絶対的に透明感のある彼とは2日限りではあったが、情操の昂ぶるサイケデリックなひとときだった。激しさを抑制しながら静かに、だが血液は奔流の勢いで全身を駆け巡った。終わってからの一服。デスクの上にこぼれた3滴ほどの彼をティッシュで拭いて赤ら顔でおやすみを言った。
熊本の清酒「美少年」を飲む。つまみはサキイカ。

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ボイラー故障に人として

Power●杉田敦著『権力』(岩波書店)を読了。
「権力を一方的に行使されているという考え方をやめ、権力過程の当事者であるという意識を持った時に、すなわち、責任者はどこか遠くにいるのではなく、今ここにいると気づいた時に、権力のあり方を変えるための一歩がふみ出されるのである。」(P102より)
権力に対する著者の粘り強い論考の努力が生々しく現出している良書。

寮の銭湯はボイラー焚き。このボイラーが故障して、湯が出ない。湯が出ぬのでもう銭湯とは言えぬ。プール。こんな設備上の不備にもかかわらず、次の給与でしっかり寮費が給与引き去りにされていたとしたらばこれはもう何らかの何かをするしかないでしょう寮生として男として人として大脳が有るのだから。

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まくり倒し

Health_and_physical_education●みうらじゅん著『正しい保健体育』(理論社)を読了。
「皆さんは、女性がセックスのときに歓喜の声を出していると思い込んでいるかもしれませんが、あれは「痛い」のです。苦痛の声なのです。」(P109より)
本物の保健体育教科書。

お買物まくり。御殿場まくり。ぎゅーっと煮込んだビーフカレーまくり。青い想ひ出話しに花、咲きまくり。ありがとう、楽しかったまくり。みんなニャンまくり。明日からまた仕事か、まくり。まくりにまくった3連休、ごちそう様様。

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金魚死なせた大昔

Basiceconomy●池上彰著『経済のことよくわからないまま社会人になってしまった人へ』(海竜社)を読了。
経済のことよくわからないまま社会人になってしまった人代表の私が読まぬ訳がない。目から目ヤニと一緒にウロコがボロボロでとっても為になりました。
●冨永昌敬監督『シャーリー・テンプル・ジャポン』(紀伊國屋書店)を賞鑑する。

小3夜店で金魚掬い。ティッシュな網、一瞬で破れ人生の厳しさ知る。おやじ本物の網で2匹くれた。家にあったガラス容器で飼う。朝学校行く時ゴキブリ見つけゴキブリホイホイ、スプレー噴霧でゴキブリ死なす。部屋に充満したホイホイの粒子、金魚に危険じゃないだろか。ガラス容器に藁半紙でフタした。帰って来たら金魚浮いてた死んでた。小3の幼い善意は逆効果。人生の難しさ知る。裏庭に指で穴掘り葬った。自分を責めた。泣く代わり爪にはさまった泥あらった。くちゃくちゃでぶよぶよの幼い後悔あそび来た。

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音大ギャルの音楽論

Antiphilosophy●高橋哲哉著『反・哲学入門』(白澤社)を読了。
「戦死が感謝と敬意の対象である限りにおいて、それは肯定され、美化される。それによって新たな戦争へ人々を動員するわけです。」(P115~116「サクリファイス(犠牲)の論理」より)

池袋のドトール・コーヒー。白ギャル2人のトークがやけに耳障りでコーヒーも味わえずにイライラ。もう本も畳んで、この際、積極的に聞いてやろうと意気込んでみたら、凄い。セリアリズムがどうした、シュトックハウゼンがどうした、ナチスの音楽選別論がどうした、おれ、どうした。背もたれに悠々と腰掛け、味わえてるコーヒー。イライラが束の間のヒールに化け、白ギャルの優美な鼻歌でなぞるバッハの旋律。終わらないパイプ・オルガンに身体を泳がせながら、1杯5000円のコーヒーと昼を過ごした。

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ビル風/散り際の勇姿

Japaneconomy●小峰隆夫編『ビジュアル 日本経済の基本』(日本経済新聞社)を読了。
経済の「経」のイトヘンまで追い付く。

駅舎と平行に立ち並ぶビル。駅から一歩出ると横殴りとは、これだ。猛雨と狂風をこれでもか、と浴びることとなる。従って混み混みの駅舎、皆、順番待ちをしているのだ。ためらいと焦り。次の歩が恐怖により出ない。意を決して果敢に飛び込んだ者達のシカバネを目の当たりにしているのだから。女子高生のスカートは逆様となり、主婦の握る買物籠は容易に風下に飛んで行き、リーマンのスーツは一瞬でビショ濡れ。傘は全てあっという間に骨だけとなった。高速で右方にスッ飛んで行くビニ傘のビニ達。はじめから傘をささぬ者もいたが、あれは賢い。日常の地獄。地上の着衣水泳。近づいて来る順番。日露戦争の大陸に於ける兵卒の気分はこんな感じだったのかも知れぬ。心の準備は出来た。俺の番だ。
ある史書によると、それはそれは勇猛果敢なる素晴らしい最期だったと言われている。即刻モゲたビニ傘を、それでも執念深く、いつまでもいつまでも決して離さなかったと言われている。

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筆禍

Insurance_1●森宮康著『ビジュアル 保険の基本』(日本経済新聞社)を読了。
保険の「保」のニンベンまで追い付く。
●アレハンドロ・アグレスティ監督『イルマーレ』(Warner Bros. Entertainment Inc)を賞鑑する。
待ちまくって、愛。

直木賞作家、坂東眞砂子の手になるエッセーが、産まれたばかりの仔猫を崖から放り投げるという内容だったもんで、ポリネシア政府が告発する構えらしい。文章によってこうむる災難のことを「筆禍(ヒッカ)」と言って、しゃべったことによってこうむる災難のことを「舌禍(ゼッカ)」と言う。禍は「わざわい」。舌禍など日常茶飯事だから面白くない。例えば政治家、例えばカップルがよくやる。でも筆禍となると面白い。どんな答弁をするのか楽しみ。弁明の質の深浅がイコールこの作家の価値。でも、めんどい事になっちゃいましたね。

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無題

Poetry●茨木のり子著『詩のこころを読む』(岩波ジュニア新書)を読了。
「つづまるところ詩歌は、一人の人間の喜怒哀楽の表出にすぎないと思うのですが、日本の詩歌はこれまで「哀」において多くの傑作を生んできました。「喜」や「楽」にも見るべきものがあります。ただ「怒」の部分が非常に弱く、外国の詩にくらべると、そこがどうも日本の詩歌のアキレス腱ではあるまいか、というのが私の考えです。」(P151より)
限りなく豊かな拡がりを持つ著者の感性と知性と言葉。所所で散見される著者の反権力、反国家の思想も読んでいて気持ちが良い。ゆらーりゆらりと書き連ねている中、国家や戦争の話題となると俄然興奮し脱線する筆の荒さ。柔らかな詩人の眼差しと、キリの様に鋭い思索家の批判精神。半年前に自宅で静かに誰にも「倚りかからず」逝ったこの詩人によるあたたかな詩への導き。

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明治のコアラ

Pytagorass_trip●酒見賢一著『ピュタゴラスの旅』(講談社)を読了。
後期ストア派の奴隷哲学者エピクテトスの生き様を描いた小編「エピクテトス」に、うなる。
中島敦文学賞受賞。

やっぱ、それにつけてもおやつはカールじゃん。明治製菓株式会社が誇る伝統的ヒット商品「カール」に飛んだサプライズがあったとは。こうやってPCに向かってカール食べながらブログやってた今の今、あの勾玉状のカール達の中に居たよ居たよ、当たりが。コアラ。完全にコアラ。両腕で何かを抱き締める格好した上半身のコアラ。大量製造機のミスによる偶然の産物とは決して思えぬ、文句無しのコアラちゃん。ま、無言で噛み殺してしまったけど嬉しいじゃん、明治製菓様。

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ミーチング

Europe●山本雅男著『ヨーロッパ「近代」の終焉』(講談社現代新書)を読了。

サマー・キャンプの計画会議開催、於デニーズ。
「注意!小山山中湖線にはトイレがありません。事前に済ませておいてね。その上、山道なので車酔いしやすい人は薬の服用をおすすめします☆トイレも車酔いも早めに知らせよう!」

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ボクにとってのW杯

Womensstudies_1●井上章一著『おんな学事始』(文藝春秋)を読了。
「芸術は、知識や教養といった制度にまもられている。だから、知識人たちにある種の命令を下すことができる。この作品には感銘をうけなければならない、という命令である。」(P15「美貌の力」より)

ボクの中田が、ボクのジダンが、ボクのカーンがフィールドを去る。ボクのイタリアが勝ち、そしてボクのワールド・カップは静かに幕を下ろした。って感じ。

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義足のおっさん

A_fool●宮崎学著『愚者から愚民へ』(スパイス)を読了。

義足のおっさん、会釈も無しに、我らの列に横入り。汗にまみれてさっきから、ひたすら待っても横入り。微々たる遠慮もなんのその、一番前に横入り。義足を盾にか、歳を盾にか、お辞儀も知らずに横入り。立川行きはやがて参って、したり顔にて一番乗り。甘えちゃダメだよ、義足に悪いよ、堂々人生、義足のおっさん。

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リ・スタート

Capitalism_and_housework●上野千鶴子著『資本制と家事労働‐マルクス主義フェミニズムの問題構制』(海鳴社)を読了。
マルクス主義フェミニズムは、社会主義婦人解放論やラディカル・フェミニズムの功績を認めた上で、それらの弁証法的止揚の視座から、資本制と家父長制とを射抜き且つ包括する、とても使えるアプローチである。

本日より業務再開。ふたたび社会の底辺で悪者排除、待ってろ。駆けずり回ってやっから。

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WET‐DREAMER

Desire_and_capitalism●佐伯啓思著『「欲望」と資本主義‐終りなき拡張の論理』(講談社現代新書)を読了。
「「資本主義」は決して一ヶ所にとどまろうとはしない。たえず移動し、つなぎとめようとする動きから逃れてゆく。それは「家」から逃れ、「故郷」から逃れ、「国家」から逃れてゆく。」(P187より)

生涯初のWET‐DREAM。戦慄だったが、常習だと言う知人の言でホッとした。ロベルト・シュヴェンケ監督『フライトプラン』を賞鑑し、ピザを喰らう。続く曇天だが梅雨っぽくないですね。

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於HARAZYUKU

Step_on_a_snake●川上弘美著『蛇を踏む』(文春文庫)を読了。
「引出しを開けるとノートやペンの間から小さな蛇が何匹も這いだした。這いだして私の腕から首をのぼり耳の中に入ってくる。入られて、飛び上がった。痛くはないのだが、外耳道に入り込んだ途端に蛇たちは液体に変わってそのまま奥に流れこむ。冷たい。まだ入り込んでいない蛇を阻止しようとして首を強く左右に振った。振ると、耳の奥で水に変わった蛇が粘稠性を増しながら内耳に向かう。ねばねばとした水が三半規管のあたりを満たす。耳小骨を取り巻く。耳が蛇でいっぱいになり何も聞こえなくなるが、耳の中を粘りながら落ちていく蛇の微かな音だけはいつまでもいつまでも鳴り響く。」(P49より)
第115回芥川賞受賞の表題作を含む全3篇。限りなく文学している。

原宿を歩き、原宿でチキンプレートを喰い、原宿で買い物をし、原宿で約5時間、生きた。

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引用でやっつけ

Selfeducation●加藤秀俊著『独学のすすめ‐現代教育考』(文藝春秋)を読了。
「しかし、実業というのも、じつのところは、国家の支配体制とぴったりむすびついているわけだから、結局のところ、大学を卒業して就職すれば、どこに行っても、いわゆる「体制」がわの一員になる、という公算がたかいのである。そのことのよしあしをうんぬんしたいのではない。わたしが指摘しておきたいのは、学校というものが、おしなべて、直接、あるいは間接に国家の支配原理とかさなりあって存在しているという事実なのである。その事実は、なかなかうごかしにくい。ひとことでいうなら、学校というものは、おしなべて保守的な性質のものなのだ。」(P226~227「学校の意味」より)

だ、そうなのである。

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ゴキ-chang

RojinryokuRojinryoku2●赤瀬川原平著『老人力②』(筑摩書房)を読了。
「人間の人生というのは、そもそもが寄り道なのかもしれない。ぼくならぼくというものが、ふとこの世に寄り道している。本来はあの世からあの世へ音もなく、形もなく、何ごともなく行くはずであったものが、ふと精子と卵子が出合ってしまって、ちょっとだけというのでこの世に顔を出して寄り道している、ということなのかもしれない。」(P174「宇宙の寄り道」より)
これで2冊とも読んだことになる。「老人力」とは何なのかを知りたければ赤だけでよい。

小奇麗にしているのにゴリブリと対面。スカスカ逃げられ結局、一夜を共にする。そして、生涯初のバルサン。

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G.W

My_art_of_reading●大内兵衛、茅誠司他『私の読書法』(岩波新書)を読了。
1950年代に活躍していた知識人の読書に関する随筆集。杉浦明平、吉田洋一、開高健、松田道雄らのエッセーが秀逸。また、最後を飾る円地文子の文章の締め括り方が自分の心象風景を代弁してくれているようで、物憂く切ない。
「この頃は自分の書くことに時間をとられますので、ゆっくり読書する暇がなく、あれも読もう、これも読もうと思いながら、机のまわりによまない本のふえてゆくのが残念です。」(P199「濫読」より)

G.Wか。もうそんな季節なんですね。今年こそはヨーロッパ一周旅行をするぞ。ドイツでビール、イタリアでピッツァ、スペインでカルメン、フランスで哲学、バチカンで市国、ノルウェイで森、イギリスでロック、ドナウ川でキャンプ、ギリシアで本、ブルガリア・ヨーグルト!
G.Wか。我ハ、関セズ。

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目の当たり

Senseisbag●川上弘美著『センセイの鞄』(平凡社)を読了。
厳密には再読了、とっても好い小説なので文春文庫版でも読み、ハイデガー研究にかけては本朝一と思しき哲学者、木田元による解説の不釣合いを苦笑う。

慕って居た先輩社員がものしたヒョンなことに対して発動された企業の暴威と非情を目の当たりにする。いかがわしきは組織体。

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奴等のホリディ

Harukorono●清水義範著『春高楼の』(講談社文庫)を読了。
明治30年代の疾風怒濤、文学・政治・恋とともに、したたか生きる青年を描く。苛烈であり感傷的でもある快作の長編小説。無冠の帝王である著者は何を書いても面白い。

同僚たちの貴重な休日の過ごし方を訊いてみた。
合コン、キャバクラ、風俗、ゲーム、パチスロ。
いい、いいよ、いい味だし過ぎだぜ、ブラザー!!!

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咲く等‐sakura

Before_you_read_a_book●荒川洋治著『本を読む前に』(新書館)を読了。
この孤高の詩人は一方で秀でたエッセイストでもある。

静岡は伊東にある「石舟庵」にて石舟庵饅頭と桜饅頭を食べる。
香濃き桜饅頭に舌鼓を打つボクの足許を、サクラの花弁がみんなでヒソヒソ話しでもするように風に乗ってサーっと駆け抜けて行った。ちょっと絵に成り過ぎだったかもね。

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文武の決闘

nipponno_musisou●加藤典洋著『日本の無思想』(平凡社新書)を読了。
公共性の脱構築。私利私欲、放恣の上に(これらを受容した上で)新たな「公共性」の再定義を図る。

物理的武装と理論的武装、これを武と文、あるいは力と知と換言してもいいが、畢竟、後者の勝利で御開きとなる。何となれば、前者は後者の穏やかなる狂気を知らぬし、隙が有り過ぎる。

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ナス嫌いの友達

languagetheory_for_poetcritic●吉本隆明著『詩人・評論家・作家のための言語論』(メタローグ)を読了。

幼時、嘔吐の不快な記憶は確実に心の擦過傷と成って、その嘔吐物が以後、食べられなくなるといった話しは可なりオーソドックス。納豆、牛乳、長芋なんか代名詞ではないか。でもナスを吐いてそれ以降ナス嫌いになるといった話しとなると、これはなかなか渋いと思いませんか知らん。西伊豆の海岸で夏休み、一通り泳いだあとナギサにナスゲロ。情景も手伝って、うん、やっぱり渋い。

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書類開封

art-of-reading-for-a_fool●小谷野敦著『バカのための読書術』(ちくま新書)を読了。
「ただ念のため言っておくが、私は「バカの味方」なわけではない。繰り返しになるが、「バカ」といってもいろいろあって、私は「難解な哲学などがわからない」という人にはかなり同情を寄せているし、自分自身そういうバカである可能性も否定できない。けれど、私は「無知」とか「怠惰」に対しては極めて厳しい。「頭が悪い」のを克服するのは難しいけれど、無知は努力によって克服できるし、それをしようとしない「怠惰」は、犯罪的だと考えているからである。私はむしろ、無知なままに生きる者たちを嫌悪していると言ってもいいくらいだ。」(P12「序言」より)
当言、性感帯。

重要な書類が届いた。

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飲茶ベイビー

nature_in_a_pocket●中沢新一著『ポケットの中の野生‐今ここに生きる子ども』(岩波書店)を読了。
精神分析学の「対象a」、「◇a」や人類学の「贈与」の概念でもって「ポケモン」を褒め殺す。

この世のものとは思えないほど不細工な赤ちゃんから一心に見つめられ続けて食べたミスドの飲茶セットの御味はどうだったんだろうか、おれ。

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ヨ、ヨ、宵、酔い

motenai_otoko●小谷野敦著『もてない男‐恋愛論を超えて』(ちくま新書)を読了。
P104から20ページに渡る「嫉妬・孤独論」の面白さ。

やっと、やっと届いた「オーターケ・タイムズ」をニコニコしながら読む読む。8K Byteに流れる貴方方の健在っぷりと友愛にストレスも浄化されます。でもさ、いよいよちょっと貯めすぎじゃないかしら。立派なヒゲで軽く笑って常にカメラ目線のあのおじさん、ニッカおじさんを囲んでまた春の宵に酔いたいよ、かしこ。

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MIXING!

object-loss●小此木啓吾著『対象喪失‐悲しむということ』(中公新書)を読了。
フロイト後期の「悲哀の仕事」を土台に、自分への志向性をかつて持っていたあらゆる「対象」(親、友人、恋人、自ら、環境、記憶、名声、無限の広義性を帯びる)が徐々に遠のいて行く時の、そして遠のき切った(喪失した)後の心の働きに就き丁寧に考え抜かれた論文。

気紛れM.Mとは約1年ぶり、とってもホッペがツヤツヤしてたのは気の所為かな、で、謎の海男のお話お話。その後、I.M、N.Sとビリヤード&ダーツ、ダーツはカウント・アップとクリケット、クリケットの意味が若干判らぬ。整腸にバナナ、ミルク、蜂蜜でバナナ・ジュース、もうこれは余りにデリシャス。

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じっぽ

tubuyakino_seizisisou●李静和『つぶやきの政治思想‐求められるまなざし・かなしみへの、そして秘められたものへの』(青土社)を読了。
「体験の一致性とは身体となった、肉声となった言語のことだけれども、そんなものは不可能だとはじめからあきらめてしまうことが「かったるさ」をうむ。かかわりの程度の問題。もう分かっているということは、時間の不一致性、時間が一致していないということ。それに対するいらだちとせつなさ。記憶に対する距離、存在の距離。相手との距離。」(「つぶやきの政治思想」より)

ZIPPOをまた買って見たけれど、いつもみたいにこれもどうせ1週間も経てば紛失すること必定也。

P.S そんなに似てんだったら、いつか普通の客に成りすまして訪れてみたいものだよ、いっしー。

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ヲタク考

lifestyle-advice●開高健著『風に訊け』(集英社文庫)を読了。
「哲学は、理性で書かれた詩である。あれは詩なんだ。論理と思ってはいけない。詩なんだよ。もう一歩つっこんでいうと、詩の文体で書かれた心の数学である。」(「哲学。」P33より)
「人間をタイプで分類するのはひとつの知恵ではあるけれども、ある型の中へ人間を押しこめると、その瞬間から別のものがそこから逃げ出していく。押しこめて満足していられる無邪気な人はそれでいいけれども、そうすると逃げ出した部分に、やがて復讐されるであろう。」(「過去型と未来型。」P319より)
「ともかく、あまり気にせんこっちゃ。クドクドうるさいこという奴は、相手にしなければいいのよ。おわかりか?」(「ガンナッツ。」P326より)
尊崇する氏がかつて「週刊プレイボーイ」誌上で繰り広げた人生相談。実に155の購読者からの質問に対して、時に熱っぽく、時に適当に切返している。こうした類の人生相談は、単なる気障(キザ)な箴言集として堕落しがちだが、豊饒な知識とブッキラ棒により読物として完璧な人生相談となっている。緊張と弛緩の応答集。

●吉本隆明著『わが「転向」』(文春文庫)所収、大塚英志による「解説‐「明るさ」は敵か?」を読了。

悲しいかな今流行の「オタク文化」なるものに触れたことがない。と、自分では思っていたんだけど先日ある女子から「本とか漫画ばっか読んでるんなんてオタクじゃん」って言われちょっと考えた。本とか漫画ばっか読んでるだけでオタクの特権が自動的に付与されてしまう簡単で嬉しい時代となってしまったのか、どうか。少なくともこの女の捉えるオタク像には相当の歪みがあるにしても、これを「歪み」として肩透かししてしまうのも、これまたどうか。アキバ常連、アニメ・フリーク、必ずリュック、シャツはズボンに全入れ、PCとフィギュア、萌え、キター。「オタク」の原型を狭隘な世界へ囲い込むこと、これはどうか。あれ、いいのかな。どうだろう。ただ、本や漫画を読む文化とオタク文化とは、恐らく根底にて質そのものが違っているとは、自信は無いが思ってしまう。前者の文化に付着する読書の姿勢・環境、後者の文化に付いてまわる独り遊びのそれら、恰好と趣きは、近似しているけれども、はてさて、どうだろう。両文化に全く馴染みの無い者が、そうした異質の世界を一まとめにして「未知の世界(文化)」への怖れ、侮蔑、キモい感を表明しているだけならば、例えばサルトルが言ったように、未知のものと不気味なものとは連繋しているといった論考だけでササッと片付けられるけれど、これはどうでしょうか。この間、AMの某ラジオ・パーソナリティが、何かに没頭、何かを極めている人は何らかのオタク、みたいなことを言っていたけれど、こうした可なりリベラルなオタクの解釈法も一つの発想としてはあるんだろうね、どうよこれは。ま、でもここらで強引にまとめちゃうと、昨今劇的に市民権を得て来た「オタク」という文化形態が、現代の猥雑な流通網(物理的にも観念的にも)を満たし流れて行く途上で、概念そのものが多義的・多元的(プルーラル)なものへと化け続けているのではないか、ということ。ほら、無難で健康な結論が出ましたよ、これ、どうさ。わかんねーや。

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パーティー

thought_logicsthinking-Mr●橋本治著『橋本治の思考論理学‐考えるワシ』(マドラ出版)を読了。
●谷川俊太郎・広瀬弦『考えるミスター・ヒポポタムス』(マガジンハウス)を読了。
「ぼくの恋人は、ぼくに哲学がないと言う。ぼくは気持ちさえあれば、哲学なんて要らないと思う。」(P40より)

PLAY ALL NIGHT LONG WITH G,B,K and Y。
「(It's Only) R'n R Workshop!」が早朝の紫に木霊して。

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迎春

a_description_of_half_life_of_socialism●山辺健太郎著『社会主義運動半生記』(岩波新書)を読了。


明けましておめでとうございます。
本年こそは、宜しくお願いいたします。

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50年

sinran●吉本隆明・桶谷秀昭・石牟礼道子『親鸞‐不知火よりのことづて』(平凡社ライブラリー)を読了。
親鸞は常に新しい。いつもカッチョいい。

ビールから日本酒、の流れが王道となって久しいが、本を読んだまま椅子で眠る。よだれを垂らす。目覚ましをセットしない。朝方、椅子から崩れ落ちベッドのヘリに側頭部をぶつける。電気の消し忘れに気付く。消灯して布団に潜り込む。奇跡的に定時に起きて、電光石火でスーツに着替えて電車に飛び乗る。
恐らく、これが、50年は続く。

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アタラクシアとアパテイア

gendaino_syakai-seisaku●石畑良太郎・佐野稔編『現代の社会政策‐新版』(有斐閣双書)を読了。

やっぱ、ほら、俺だって人間じゃん?そりゃ色々、欲望はあるよ。金がもっと欲しい、名誉だって地位だって、女だって、時間なんか止まっちゃってもっともっと好きなこと出来ればいいと思うのが普通じゃん。あ、金が欲しいで思い出したけど、こないだの冬のボーナスっつったらなかったよ。えっ?って感じ。お前、いくらくらい貰った?まじで!?それ、貰い過ぎだろ!なに、それ、貯めんの。何か買うの。あー、そう。服って、お前、服ばっか買ってね?服ばっか買ってたって、基礎がなってないからダメだよ。基礎を怠慢にしてるといずれバレちゃうから。今話題のアネハ的なことになっちゃうよ。何買うの。へー、お前って、チョイチョイお洒落にも気、遣うよな。うざいね。うん。まじでうざい。俺なんか服すら買えてないよ。仕事、仕事、仕事ですよ。買いに行く気はあるけど、身体がさ。って、何の話ししてたっけ。あそうそう、欲望だよ。だから、なんつーの、外から来る色んな刺激?そーゆーのに、振り回されずに生きてーよな。お前知ってる?こないだ本読んだんだけど、ギリシアの哲学にさ、快楽だけを追求する何とか派とさ、快楽を、快楽を嫌う、快楽を抑制する派、ストイック、ストイック派っていう二つの派閥があってね、でもどっちもさ、最終的な目標は面白いことに一緒でさ、外からの刺戟に流されないぞ、っていうのが共通するモットーだったわけ。意味わかる?お前、これ面白くね?パット見、敵同士みたいなのに、求めることは一緒なんだよ。深ぇよ。深ぇべ。俺、何気に勉強してんの。お前、ちょっと難しいべ。え?エピコース?エピクロス?そう、エピクロス。って何それ。

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憩っちゃって

das_kommunistische_manifest●マルクス・エンゲルス著『共産党宣言』(岩波文庫)を読了。
接するのに遅過ぎた感は否めない。

久しぶりの実家。
伸ばした羽に、日本酒をこぼす。

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警備業法第8条

maryfifi_no_gyakusatusongbook●中原昌也著『マリ&フィフィの虐殺ソングブック』(河出書房新社)を読了。

「警備業者及び警備員は、警備業務を行なうにあたつては、この法律により特別に権限を与えられているものでないことに留意するとともに、他人の権利及び自由を侵害し、又は個人若しくは団体の正当な活動に干渉してはならない。」

あなたが警備員ではなくとも、この社会の構成員の一人として当条は解されていてよい。

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ポイっ

syokenro_no_tie●筒井康隆『笑犬楼の知恵-筒井康隆トークエッセー』(金の星社)を読了。
あの毒が無い。トークとなると老成し切ってしまうのか。

どいつもこいつもみーんな纏めてクシャクシャ、ポイっ。

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2コンボをだうぞ

waga_tenko●吉本隆明著『わが「転向」』(文藝春秋)を読了。
生産(者)主義的な教条的マルクス主義から消費(者)主義的な資本主義(超資本主義)への昇華・進捗を、ここでは旧来のスターリン・ソフトが知らず識らずのうちに陥ってしまっている反文明・反都市に真っ向から挑む恰好で敢えて「転向」としているものである。
なんのこっちゃ。

停車している下り列車に自分が乗っているとして、隣りの上り列車が今まさに進行し始めた時の、あの、むしろ「自分が乗車している下り列車が動き始めた感」と同じように、自分は運動していないが、身辺が、風景が大きく動き変わり始めているフワフワとした感覚に襲われているものである。
なんのこっちゃ。

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「青」は進め「赤」は停まれ

zituzonsyugisi_no_sisakutetugaku_izenno_tetugaku●松浪信三郎著『哲学以前の哲学』(岩波新書)を読了。
これで岩波新書より刊行された氏の著作は全て読んだことになる。全ページ上から下までビッシリ余白無き1962年第1刷発行『実存主義』、最も読み易く、従って最もメジャーな1983年発行『死の思索』、そしてフォントはでかいが限りなく抽象度が高い1988年発行の『哲学以前の哲学』。これら3部作(扱う内容はそれぞれ異なるけど)を通読して抱く感想、2点。ひとつは見ての通り青版・黄版・赤版と、見事にサイクル・ヒットをかましておられること。いまひとつは時間の経過に反比例しながらグングン、もう目を見張るくらいつまらなくなっていること。『実存主義』におけるエネルギッシュで鋭い分析は内容の濃さと重量を忘れさせて呉れるほど素晴らしかったのに。ある哲学者の発展と堕落のプロセスがこの3冊に凝縮されていることを思えば、上中下巻のドラマであると言っていい。

新発売のカフェオレを飲みに久しぶりに読書がてらミスドへ行ったところ店内全員カフェオレを飲んでいたのでさすがにビビッた、しかも皆当然の様に単品で。寿司屋で全員寿司を喰っているように、ラーメン屋で皆ラーメンをすすっているがごとくの自然体でだよ。

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あの頃は若かりき

sibo_no_katamari●モーパッサン著『脂肪のかたまり』(高山鉄男訳、岩波文庫)を読了。
第3項排除とエゴイズムの緊密性。

「象の話し」
ぼくは、象の、ハナコさん、インディラさん、トンキーさんが、人間が起こした戦争なのに、みんな殺されてしまったことがくやしくて、悲しくなりました。
やせてしわだらけのトンキーさん一匹、園丁のおじさんに、逆立ちの芸当をして、芋が欲しいとねだっても死んでしまいました。
戦争は、むりやり象を殺してしまいました。
ぼくは、戦争なんてしては、いけないのだと思います。
戦争は、動物園のみんなを殺して、人間も殺してしまう事です。
ぼくは、人間が起こした、戦争でむりやり殺されたくありません。

本棚の整理をしていたら、小4の時の「作文綴」と題したファイルが見つかり、先程来パラパラと繰っている。全ての作文には担任だった朝倉久美先生の手になる大げさな花丸と短い感懐が赤ペンで付されている。懐かしくもあり、書くことも別段無いので調子に乗って、もう一つ、今度は詩を転記してみる。

「心配」
日本は平成三年
地球は一九九一年
地球の上で戦争がおこった
太陽や月や星は心配している

この少年は小4の時に既にして反戦主義者であったようだ。他にも何かと「戦争」へのアンチ・テーゼを幼稚な丸字體でせっせと書き連ねている。少し突っ込んで分析を進めてみるに、ここに掲げた両作に共通するものは主題の同一性の他に「視点」の客観性、他律性をはらんでもいる。自らの見た「戦争」を主観的に批評・非難するのではなく、「象」の戦死と「天体」からの俯瞰を、即ち、視座を客体へ転じながら論じている。この事が意味するのは…。

っていう突っ込んだ批評や分析がいやらしくも大仰に試みられるほどにボクは大人に成ってしまった訳だが、臆面も無く純粋に「園長」を「園丁」と書き、句読点の付け所がグダグダのあの頃のボクを軽く憧れ、当時を夢見ると不思議な哀切に包まれるのはどうしてだろう。
ほくそ笑んだり、いぶかったりしながら、今、部分部分記憶に無いあの頃の他者の様な自分を眺めている。

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初ピカタ

kazenoutawo_kike●村上春樹著『風の歌を聴け』(講談社)を読了。
1979年、群像新人文学賞受賞作。
偉大な作家のデビュー作。「違い」は分かる。

コンビーフのピカタを生まれて初めて食べたのち、幼馴染みのK子に折られた(重過失)アンテナを約2年ぶりに修理しようと最近俄然お世話になっているオートバックスへ赴く。んもー、出費は止まんないよ。

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まだ見ぬ旅程

seisyonennotameno_zisatugaku-nyumon●寺山修司著『青少年のための自殺学入門』(河出文庫、寺山修司コレクション)を読了。

ぶらり旅に手提げ鞄は無粋だと個人的に思う。
リュックの中身は財布とギンギンに冷えた緑茶入りのでっかい水筒、それに3冊くらいの本とよく削られた赤鉛筆1本(自分は本にこれで線引きしたりメモしたりするので)。
あてど無く民宿とか旅館に泊まりながら県をまたぐ。軽快に小川なんか飛び越えちゃったり、老漁師と軽くダベったり、岩風呂からグーンと満月仰いじゃったり。

いつか、出来るだろうか。

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両価

furoido-wo-yomu●岸田秀著『フロイドを読む』(河出書房新社)を読了。

性別は問わず、この人いいなって直感で思ったら、体系的にその人を知りたくなっちゃって、とことん付き合ってみたくなる。ただ、この性癖は諸刃の剣だということを重重おさえておかないといけない。
相手次第。性質吟味。この世は飽くまで相対性。

経験則を武器に慎重に、小賢しく生きて行くことは大人への階段の一つ。でも、その階段は階上へ通じているか階下へつながっているか。

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地震 TO COME

senso-wo-kiokusuru●藤原帰一著『戦争を記憶する‐広島・ホロコーストと現在』(講談社現代新書)を読了。

●バーナード・クリック著『現代政治学入門』(添谷育志・金田耕一訳、講談社学術文庫)所収、藤原帰一による「解説」を読了。

以前、崩落した書物に押し潰されて圧死する幸福な夢を見たけれど、近頃とってもワンパクなプレートや無邪気な活断層によって、ググっと現実味を帯びて來ちゃったから、あ、ほんとに圧死しちゃう、幸福な死を遂げちゃう、防災だ、危機管理だ、祭りだ祭りだ、ってんで、本棚の安全強化をした。

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要は、盛夏で候

hpa0003●佐高信著『日本の会社と憲法 メッセージ21』(労働旬報社)を読了。

ドラえもんのタケコプターの矛盾はどこでもドアに由来する。瞬時のテレポーテーションを可能にする後者があるにも拘らず、前者を多用する理由は何か。空を飛ぶ楽しさぐらいしか思い浮かばないけど。
それにしても、どこでもドアってロマンがある。
日銀の金庫で日本銀行券を奪取しまくったって、完全犯罪。愛する人の許へだって時間を問わずにいつでも行けちゃうし。
汚いロマンにしろ、美しいロマンにしろロマンはロマン。
月の砂漠へだって水の都へだってコフス・ハーバーへだって一ッ飛び。

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猛暑で候

hpa0004●西研著『ヘーゲル・大人のなりかた』(日本放送出版協会)を読了。


毎日が逆スペシャル。

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和合の一品

hpa0000●星新一著『きまぐれ学問所』(角川文庫)を読了。
今は亡き偉大なショート・ショート作家の該博な知識と強靭な好奇心。
でもやっぱり、彼はエッセイよりもショート・ショートで花開く。

醤油ダレで炒めた挽肉を南瓜の煮っ転がしに和える。
マイ・ブーム。

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グリスは乾いているか

gendaiseizigakunyumon●バーナード・クリック著『現代政治学入門』(添谷育志・金田耕一訳、新評論)を読了。
くれぐれも入門ではない入門書の存在が何も知らない入門者のノックをすっかり防音し無化してしまうという事態がそこここで頻りであるということぐらいは知っておいても損はない。

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無題

senso-sekininno_uketomekata●加藤周一著『戦争責任の受けとめかた-ドイツと日本』(アドバンテージサーバー)を読了。

何とかして仕事人・企業人・ワーカホリックには堕さぬ様、一生懸命に生きる。

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観葉植物

sinokabe●養老孟司著『バカの壁』(新潮新書)を読了。
●養老孟司著『死の壁』(新潮新書)を読了。
新書からベストセラーが出るのは、皆無ではないが珍しい。
俗的な知的好奇心や知的満足を得る為の本。著者の漫談を編集した体裁の故、どの議論も浅い。
爆発的に売れた前者より後者の方がマニアックで吉。

自分の嗜好じゃないけど、この部屋、フル・オブ・観葉植物。
シャコバサボテン、ライム・ポトス、ポトス・マーブルクィーン、セトス、胡蝶蘭、コーヒーの木(アラビカ種)、ハマナレイクドリーム、この他もろもろ名も知らぬ植物群が所狭しと濡れた緑を放射状に主張している。
ここまで来ると逆に観られてるようで、むかつく。
って書いておいて、改めていま観ると、ちょっと可愛い。

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Slavery

kindaino_roudoukan●今村仁司著『近代の労働観』(岩波新書)を読了。
「古代であれ現代であれ、労働は基本的には、自由な行為ではなくて、隷属的な行為である。」(P123)

人の話をよく聞き、定期テストを頑張って、学校をそこそこで卒業し、友達と仲良く、恋人と平和に、スポーツに汗を流し、映画に涙し、たまには酒を酌み交わし、海岸線をドライブしたり、旅行に胸躍らせて、買い物でストレスを発散したところで、例えばバスタブの栓を抜いた時、大量の白湯が排水穴へ残らず吸い込まれて行くように僕らは結局、奴隷と成る。その哀れな自分を直視しない為に、僕らは日々の労苦の中に小さくても良い、わずかな喜びや生き甲斐、存在の意味を創り出す。上の者から叱られることで昨日より今日、今日より明日と成長し、気付けばいつしか下の者を指南している。自分の経験と蓄積して来た知識でもって労役に一層励み、若かった頃の自分とは比較にならないほど大きくなった自分に気付く。裸で砂を運び、レンガを敷き詰め、やがて鞭を振るい、己の握力に酔う。労働は、人間が成長する為の契機であり、存在の意味と喜びの源泉である、という山のような勘違いをしながら僕らは生きて行く。幸福に生きて行く。奴隷は泣き笑いして生きて行く。

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小脳あたりが痛い

keritai_senaka●綿矢りさ著『蹴りたい背中』(河出書房新社)を読了。
第130回芥川賞受賞作。
当作に対する「は?」とか「何これ」等の批判の8割は、著者の若さへの嫉妬で構成されている。
「芥川賞ってこんなもんなの?」とか「芥川賞の価値を疑う」「俺でも書ける」等の「芥川賞」絡みの非難の8割は「芥川賞」への権威主義と無知で構成されている。
ストーリー・テリングと筆致の能力は発展途上もいいとこだけど、彼女の若くも毒入りの感性と、他者への鋭利で甘酸っぱい眼差しは今後の文筆活動をきっと支えてくれるだろうな、というのが自分の印象批評。

これから、マグロのカブト焼きをいただきに行く。

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愛染の現場

doubutunitote_syakaitoha_nanika●日高敏隆著『動物にとって社会とはなにか』(講談社学術文庫)を読了。
コンラート・ローレンツ著『攻撃―悪の自然誌』(みすず書房)やリチャード・ドーキンス著『利己的な遺伝子』(紀伊国屋書店)などの翻訳者としても知られ、動物行動学の領域に多大な貢献を果たした著者による比較社会論。ここでの比較の両項は、言わずもがな動物と人間との相である。一見不可解で無意味に見える生物の行動(条件反射としてのそれも含む)の内にも、合理的な論理と種個体群保護の意義があるとする提言など、その視座は一つの構造主義的テーゼが下地になっているとも解せられる。人文・自然両科学に学究的ウェイトをなるべく等配分しようと努める自分にとっては有益な書だった。

とある塗装工場事務所へ、とある機器の交換工事をするべく訪れた時のこと。
事務所内で煙草をふかすアラブ系の出稼ぎ労働者は持った受話器を放さない、午前00:10。
突然の侵入者(自分)と受話器の向こう側のさっきからの誰かに、注意をなるべく等配分しようと努める彼にとっては困難な事態だった。でも彼は優しいから、優しい表情で「いいよ、何でも勝手にやってもらって結構だよ、ぼくは、ほら、今電話中だからね」的なムードと状況を醸してくれる。で、早速、作業開始。したものの、自分は彼のシロップな愛のコトバに作業の手が急遽、鈍行となる。
「ダイジョウブ、・・・、・・・ウン、・・・ワカッテル。ダカラネィ、ボクハ・・・、ドンナバショカラデモヨルノ星ガミエルヨウニネィ、キミヲ、ミツメ・・テイル、イルヨゥ。ウ・・、ウン・・・、モゥ、カエルカラネィ・・・。アトデネィ・・・大丈夫ダカラネィ。ジャァネ、バイバイ。チュッ。」ガチャ。
アラブの男性は優しい。電話が終わってからも彼はその受話器を慈愛と赦しの視線でしばらく見詰めていた。
真っ直ぐな愛の場に偶然居合わせた自分は、彼を信じる。彼の人生は、ああ、あの人の為にあるんだな、と思った。
聞いていないフリをする自分は、まだ各停のペースで作業はあまりはかどらない。
「ゴメンナサイネィ、ゴクロサマデスネィ・・・」と思い出したかのように言ってくれた彼の浅黒い肌は、毎日、シンナーと汗に包まれていることだろうな。名も知らぬ厳しい戒具のような重たい工具を持ち運び、身体に決して良いとは言えないだろう塗料を塗布し続ける彼の筋肉は、しかし常に愛するあの人を想っているだろうな。カタコトの教科書みたいなカタコトで、それほど会心とは思えない比喩で精一杯の愛を紡ぎ出そうと奮闘する彼の口は少し震えていた。―錆び、汚れた工場のトタン屋根の上方でまたたく星としてのあの人へ。
そんなことをマッタリ考えていたら、ビスの差込口を間違えた。プラスドライバーに涙がもし一滴落ちたら、もうそのまま4・5滴落とし続けただろうな、と何となく思った。
彼の愛が、どうか星を包む青い天幕のまま生き続けますように。
作業、無事、完了。

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やっちゃった

syokutakuha_warau●開高健著『食卓は笑う』(新潮文庫)を読了。

仕事柄、一夜に100キロから150キロくらい、車で動く。
公道を、坑道を、農道を、林道を、抜道を、餓鬼道を、修羅道を、畜生道を無軌道にヒタ走ると、側道に多くの動物を見る。
人間は勿論のこと、牛、馬、驢馬、犬、猫、狸、土竜、鼠、鳶、鷲、雉、などなど。枚挙に暇が無い。
で、こないだR246で。
ネコ踏んじゃった。

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翔舞のとき

nihon_sihonsyugino_sisouzou●内田義彦著『日本資本主義の思想像』(岩波書店)を読了。
どうでもいいっちゃ、どうでもいいけど「むすんでひらいて」の作曲者が『社会契約論』や『人間不平等起源論』の著者、ジャン・ジャック・ルソーだったとは驚き(四・2 ルソーの「自然」と音楽―オペラ『村の占者』を中心に―)。
当書が幾重にも織り込んでくれた脳のシワのお陰で、事実、頭痛が激しい。

去る3月27日、去年に引き続き「湯河原温泉オレンジマラソン」に出走した。
5kmのコース。ランナーズ・ハイが訪れないままゴールするもんだから或る意味、きつきつ。中継地点には当然給水場があって、スポーツ・ドリンクが置いてある。走りながらカッコ良く左手でバシっとつかみ、ゴクっとやって、ポイっと捨てた時、ギャラリーのおばさんのシューズにブッかかる。タイム・ロス。結局去年のタイムを十数秒縮められただけの不本意な結果に終わったのでした。それからみんなでホテルのランチ・バイキングに行って、いろいろおいしいものを食べまちた。カレーとかお肉とかサラダとか茶碗蒸しとか、お腹一杯食べました。おいちかったです。
お兄さん、お姉さん、ありがとうございました。

それにしても最近、周囲から大きな知らせが届いて来る。変節だなぁと痛感する。
某一流化粧品会社へ就職した朋友は広島に飛ぶと聞いた。
某一流リゾート会社へ就職した朋友は三重に一昨日飛んだ。
苦労と努力の末、某一流アパレル会社へ内定が決まったとの嬉しい報告が教え子から届いた。
会社の同期は退社し、今では医療カルテのベンチャーで楽しく充実した毎日を送ってると聞いた。
お世話になった私塾の教室長からは結婚式の招待状が届くし、その塾で公私共に仲良くして来た二人の元・講師からも間も無く結婚報告のレターが届く。
以前共同生活させて貰ったジャジーな陶芸家のインターネット・ヒット件数も逓増の一途を辿っている。
みんな、動き出してるなぁ。
渓流の岩陰で、その流動のエネルギーを持て余すように滞流している者は誰か。
不動の美という開き直りに固着して、ドブの油膜にブクブクと浸かっている者は誰か。
動き出さねば。翔舞をせねば。

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